理事長所信

ookura

一般社団法人 松本青年会議所
第57代理事長 大蔵 俊介

DEEP IMPACT

【基本方針】

一、郷土に大きな「衝撃」と「影響」、深い「気づき」を与えよう
一、尊敬と憧れの存在となろう
一、周囲に感謝し自己の成長を約束しよう

はじめに

今を遡ることおよそ10年前、日本の競馬界に一頭のスターホースが誕生した。馬主から「多くの人に衝撃を与える馬になって欲しい」と願いを込められたその馬は、まさにその名の通り圧倒的な強さで競馬界に衝撃を与え、競馬ファンならずともその名を知らぬ者はいないほどであった。ファンの期待に見事に応え、その期待以上の強さを見せ続ける姿に多くの人々が魅了され、人馬を超えて尊敬と憧れの眼差しを向けた。
私もそんな人間の一人である。

創立以来56年の歴史を誇る一般社団法人松本青年会議所(以下松本JC)も、地域の信頼と期待に応え続け、未来を見据えながら今日のこの郷土を創り上げる運動を行なってきた。「明るい豊かな社会の実現」を目指して、不変創始の気概を胸に「松本JCだから出来る運動」を展開してきた歴史がある。
2014年に創立55周年を迎え、今また次なる節目に向けて運動を実践していくべき時、今後も地域から期待され尊敬と憧れの眼差しを向けられるために、今一度我々自身がJC運動の本質と向き合い、JCの可能性を信じ、このまちに大きな「衝撃」や「影響」、深い「気づき」を与えていこう!

誇りある郷土の輪郭を描く

雄大な北アルプスをはじめとする山々や自然豊かな高原資源に抱かれ、国宝松本城をシンボルに城下町としての歴史や「岳・学・楽」の「3ガク都」に代表される文化が彩るこの郷土は、多くの「宝」に恵まれ「日本全国住みたいまち」でも必ず上位に上る人気を誇ります。2015年シーズンに念願のJ1参入を果たした松本山雅FCも郷土の新しい「宝」として、市民の誇りとアイデンティティー醸成の一翼を担っています。
また、松本・安曇野は高速鉄道網に恵まれていないように思われがちですが、都会から電車で約2時間半という「距離感」が、都会の旅行者に人気があるのもまた事実です。
過去に松本JCとして様々な運動を実践し、提言を行なってきた信州まつもと空港も郷土の「宝」の一つです。株式会社フジドリームエアラインズ(FDA)による札幌便と福岡便の定期便は、就航以来順調に搭乗率を伸ばしていますが、我々は今後の世界情勢や未来を見据え、信州まつもと空港が持つ更なるインバウンドの可能性を追い求めていきます。
一方、国や郷土に甚大な被害を及ぼす様々な自然災害が発生し、その対策や政策の重要性が叫ばれている昨今、日本のまさに中心に位置するこの空港や精強山岳部隊として名高い陸上自衛隊松本駐屯地が在ることは心強く、大切な「宝」として再認識する必要があるでしょう。
変化の時流が速度を増す中、こうした「宝」に恵まれた郷土を誇り愛する「郷土愛」を核に、時流に柔軟に対応しながらも軸は動じない、JCだからこそ出来る未来を見据えたまちのグランドデザインを描いていきます。
「信州まつもと空港周辺エリアにカジノを含む統合リゾートが出来たらどうなるだろうか?」「もし将来市街地にショッピングモール併設のサッカースタジアムが出来たらどのような影響があるだろうか?」「かつてあった路面電車が復活したらどうなるだろうか?」「全国的に見ても遊休地が多いこのまちで、何か市民が“利”を享受出来るような公共事業や仕組みは出来ないだろうか?」
若い英知と勇気と情熱を結集し、既成概念に捉われない柔軟な発想で夢を描き、誇りある郷土の輪郭を発信します。

新たな“郷土ブランド”の可能性

2009年に製作された「新松本・安曇野宝かるた」には、前段で触れた郷土の「宝」が沢山詰まっています。松本広域圏の自然・食・工芸・文化などの観光資源・地域資産を題材に、子どもたちが「郷土愛」を育むためのツールとして活用する一方、地域外への郷土の「宝」の情報発信も目指しています。格段に情報・通信技術が発達している中、様々なコンテンツの発信に地理的アドバンテージはなく、果ては世界中と容易に「繋がる」ことが可能です。更なる幅広い発信を目指すためには、例えば「アプリ化」するのも手法の一つの可能性なのかもしれません。
ともすると「まちの輪郭」を奪いかねない「グローバル化」や「超少子高齢化」といった時代の波も、視点を変えれば「アイデンティティーを深め、地域発世界の可能性」や「青少年の夢をサポートする高齢者の社会参画」という「機会」(チャンス)と捉えることも出来ます。
郷土の歴史や伝統、独自の環境や精神性によって育まれた世界に誇れる素晴らしい地域資源・「宝」を活かし、アイデンティティーを核にその可能性を追求していきます。
「平成の名水百選にも選定されている“まつもと城下町湧水群”を使って、地ビールや独自の清涼飲料水が作れないだろうか?」「恵まれた自然環境や温泉群と最先端の技術を持った医療施設を結び付け、新たな健康産業を創出出来ないだろうか?」
若い英知と勇気と情熱を結集し、既成概念に捉われない柔軟な発想で夢を描き、誇りある新たな“郷土ブランド”のビジネスモデルを発信します。

「無関心」は最大の悪である

我が国日本の安全保障が揺れています。国際法の基本となる国連憲章では、全ての国連加盟国に「固有の権利」として集団的自衛権が認められていますが、日本国憲法を絡めた議論や我が国独特のイデオロギー闘争と相まって、世論は大きく割れています。
意見の相違はあって然るべきものですが、大切なことは国民の一人として根底にこの国を誇り愛する「愛国心」を持った上で、先の世代までもが安心して暮らせる平和な世界を築いていくにはどうすべきか、自分なりの考えを持つことではないでしょうか。
郷土が抱える問題・課題にも同じことが言えます。郷土を誇り愛する「郷土愛」を核に、先の世代までもが安心して暮らせるまちにしていくにはどうすべきか、自分なりの考えを持つことが大切です。
残念ながら、安全保障関連法案に限らず国の様々な問題・課題に対しても、また郷土が抱える様々な問題・課題に対しても、子を持つ親や責任世代でありながら「無関心」な人が多いのも事実です。
JC運動の本質の一つは「市民意識変革運動」です。人の意識が変われば行動が変わる、その小さな積み重ねがまちを変え、国を変え、世界を変える。「恒久的な世界平和」の実現のため、世界に同志を持つJCだからこそ出来る運動です。
本年は、松本市長選挙と参議院議員通常選挙が行なわれることが予定されています。2015年に行なわれた長野県議会議員一般選挙・松本市議会議員一般選挙では、共に松本市の有権者の投票率が50%を割り、とりわけ若い世代の投票率の低さには危機感を感じずにはいられません。
松本市長選挙においては現職市政12年の検証を絡め、参議院議員通常選挙においては選挙権年齢が18歳以上に引き下げられる初めての国政選挙として、共に「無関心」からの脱却と主権者意識の向上を図り、松本JCとしての政策をグランドデザインと共に発信し、市民や行政に提言していきます。

発展的な国際交流に向けて

「恒久的な世界平和の実現」がJCの目的です。故に「JC三信条」の一つに「世界との友情」が謳われているのです。
松本JCにおいても、恒久的な世界平和と国際社会の発展を望み、お互いの歴史・文化・慣習・宗教などを理解し合いながら、台南女國際青年商會との交流を続けており、本年で姉妹交流締結25周年を迎えます。会員同士の交流はもとより、市民交流や相互の都市での市民との協働事業などによる交流で育まれた「絆」は、大きな基盤として誇ることが出来るものでしょう。
国際交流は「愛国心」「郷土愛」といった己のアイデンティティーを再認識する、またとない機会でもあります。25周年という節目を迎えるにあたり、今までの交流を検証しつつ、アイデンティティーと培った「絆」を軸に文化・観光面での都市間交流を推進し、相互の文化振興や地域経済の活性化に寄与し得る発展的な国際交流を目指していきます。

組織力の向上と存在意義

JCは、世襲経営者のサロンクラブではありませんし、イベントを行なう団体でも、ただ単に社会奉仕を実践する団体でもありません。我々は、言わばまちづくりの「運動家」として、崇高な理念と優れた先見の明、英知と勇気と情熱に満ちた気概と行動力で、社会や行政が考える先までも見据え、時には物申せる資質を身に付ける必要があります。真に「明るい豊かな社会」が実現されるまで、JCがJCらしく在り続けることこそが、我々の存在意義と言っても良いでしょう。
会員の減少、在籍年数の低下といった課題を抱える中、我々一人ひとりの意識向上と成長、結束により強靭な組織を持続していくことが必要です。「志を同じくする者」が力を合わせなければ、「市民意識変革運動」が伝播していくはずはありません。
同時に、一年でも早い「明るい豊かな社会」=「恒久的な世界平和」の実現のために、「志を同じくする仲間」を常に増やしていく必要があります。目標を定め、その目標に対する戦略・戦術を立て、会員全員で会員拡大に取り組みます。

結びに

我々の運動と日々の活動は、身近な大切な人たちの理解と協力の上に成り立っていることを忘れてはいけない。だからこそ有意義なものにしなくてはいけないし、誠実かつ一生懸命に取り組むことで得られる自己の「成長」こそが、何よりの恩返しになると信じて邁進しなくてはいけない。人生を終える時、貴重な青年期にJAYCEEであったことを心から誇れるような価値ある時間を過ごしたいものである。
また、我々は40歳で卒業を迎えるが、国や郷土を思い口にした言葉や行動は卒業を迎えることはない。地域のリーダーとして生涯その責務を果たしていこう。この郷土で必要とされ、信頼される人材を輩出し続けることもJCの役割の一つだから。

競馬は「血のスポーツ」と言われるように、血統を基に強い馬を生み出す研究がされているし、何よりファンは「父と同じレースを子が勝った」というような「血」が織りなすドラマに魅せられている。競走馬は、現役引退後も種牡馬や繁殖牝馬として、その優秀な能力を「血」として先の世代に伝えていくことを「使命」とされているのである。
私も一人のJAYCEEとして、歴代理事長の子として、そして第57代理事長として、その「血」を伝え自らも地域のリーダーとして生涯その「使命」を果たしていきたい。

委員会・特別会議体構成

郷土の誇り創造委員会
・未来を見据えた郷土のグランドデザインの調査・研究と発信
・市政の検証と各選挙における「意識変革運動」の実践に基づく政策提言
郷土の未来発信委員会
・地域経済の発展を意識した信州まつもと空港の更なる可能性の追求
・災害時のネットワーク構築と新たな防災政策の発信
郷土の魅力創出委員会
・地域アイデンティティーを核に持つ新たな“郷土ブランド”の創出とビジネスモデルの発信
郷土愛育み委員会
・子を持つ親世代への「意識変革運動」の実践
・子どもたちの明るい未来のための運動の実践
広報国際アイデンティティー委員会
・台南女國際青年商會交流25周年を契機とした検証と発展的な民間国際交流の実践
・国際交流を通じた日本人としてのアイデンティティーの確立
・広報媒体を活用した松本JC運動の発信
総務組織力向上委員会
・強靭な組織像の模索
・夢ある基本財産運用の浸透
・会員拡大の実践
人間力育成特別会議
・未来のJCを担う新入会員の育成
・各委員会との連携、特別会員及びシニア会との関係構築
出向者連絡特別会議
・各出向先との情報循環および協働運動の推進
・出向を通じた松本JCとしてのアイデンティティーの確立